意欲とこだわりがマッチ。地域を真剣に支援しているのが他と違う
「ただ単に“いいモノ”を揃えているだけでは、もう満足してもらえない時代なのだと思います。これまでのように、食に関心があって購買意欲が高い方に向けて発信するだけでなく、ある一定のことにものすごく好奇心が高い方に対しても積極的に働きかけていくことが必要なのではないでしょうか」
そう語るのは、三越伊勢丹の食品統括部・食品第一商品部で部長を務める、大野真人さん。
生産者側の立場に寄り添える支援者
大野さんにはバイヤーズ・ガイドが主催する商談会にバイヤーとして参加するのはもちろん、各地域で行われる求評会(個別相談会)でアドバイザーを務めていただくなど、一歩先を見越した審美眼で的確なアドバイスをしていただいています。
「商談会や求評会を取り仕切っている会社は他にもありますが、バイヤーズ・ガイドは生産者側の立場に寄り添って、地域がどうやったらよくなるのかということを長期的に真剣に支援しようとしているところが、他と違うなという印象があります」
首都圏への販路開拓に意欲があり、マッチしやすい
大野さんが所属する食品統括部のメイン業務になっているのが、取り組み先とコミュニケーションをとって未来を一緒につくっていくこと、社内のセールス担当者とコンセンサスをとって現場の声を拾っていくこと、それをお客様に発信していくこと、の大きく分けて3つ。
なかでも、取り組み先との関係性づくりはとても重要で、三越伊勢丹限定のオリジナル商品をつくっていくといった取り組みのほか、消費者がまだ気づかない潜在的な欲求にもとづいた商品をどれだけ一緒になって考えられるかといったことまで及ぶそう。
「そういった状況のなかで、バイヤーズ・ガイドにご紹介してもらった取り組み先はうちに合うところが多いので助かっています。一つの商品を選ぶときにコレいいなというのがあったとしても、本当にいいのかどうかは他と比較しなくてはわからないですよね。そういうときに、『バイヤーズ・ガイド』の冊子が便利。地域だけでは終わらせたくない、首都圏に売り込みたいという人たちが集められているのも、こちらの意向とマッチしていいですね」
チームづくりも商品選定も最終的に大切なのは「人」
商品を選定するうえで大切なことは、「まずその業界の“普通”を知っていること」と大野さん。その普通に対してどこまでどうこだわるのかを“経験とコミュニケーション“で判断するといいます。
「意外とアナログなのですが、どんどん変化していく消費者ニーズは“人ありき”で把握することが多いのです。現場の声を拾い上げるのはもちろん、チームメンバーと集まってよく話し合うとアイデアも全然違ってくるんですよね。採用商品を決めるときも、商品力はもちろんですが、最終的に人柄で決めることも多いです。まじめにいいモノを作っている人は、大概いい人ばかりですけどね」
そんなふうにチームや人を何より大切にする大野さんが最近一番やりがいを感じたのは、2016年の9月にスタートした食品部門では初となる新ブランド「ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD」。チームメンバーと試行錯誤しながら、コンセプトづくりから携わったプロジェクトが世に広まり、成果が出ていくのがとてもうれしいといいます。
これからの課題とバイヤーズ・ガイドへの期待
そして、この新ブランドにおけるポイントとなるのが、まさに先に出てきた“普通をベースに発展した三越伊勢丹ならではのこだわり感”。ちょっぴり贅沢だけれど、毎日の食卓で使うシーンがきちんと計算された“上質な定番品”を取り揃えています。
「これからの課題は、“Will”をもっと絞り込むこと。催事で出会う商品と店頭の棚に置かれる商品、そして『ISETAN MITSUKOSHI THE FOOD』として選ばれる商品は目的が違いますよね。最初からある程度どこを目指すのかということを念頭に置いたうえで、取り組み先との商談や商品開発に望みたいですね。そうすることで、結果的にたとえば10人いたお客様が6人に減ってしまったとしても、『こんな商品あるんだ!』と驚きをもってファンになってくれる6人のお客様を獲得していくことが、将来のために必要なのだと思います」
そんな未来を見つめる大野さんがこれからのバイヤーズ・ガイドに期待することとは?
「地域食材のご紹介や販路開拓は十分にやってきていると思うので、販路を拡大した先に日本がこんなに良くなるんだよ、というような提示をもっとしていただきたいですね。無農薬だとかサスティナビリティがどうとかだけではなく、“その食材を食べることでその地域がこんな風に活性化されていくんだ”ということを、バイヤーズ・ガイドが発信してくれたらうれしいですね」