事業者向けの講演や研修、商談後のフォローまで行う手法が他社にはない手厚さ
美味しいものを探して全国各地を飛び回る食品ギフト担当バイヤー。クマさんのような見た目で大のスイーツ好き。食に関するテレビ出演や講演、審査員などの経験も豊富。
今回はそんな大丸松坂屋百貨店の名物バイヤー・渡邉博文さんにお話を伺います。
全国各地の美味しい商品を求めて飛び回る日々
私は1998年に株式会社松坂屋へ入社しました。最初は法人外商部に配属されて、企業用の景品ですとか、ノベルティなど販促グッズを作っていました。成績優秀な従業員さんへの全国産品プレゼントなどもやっていましたから、当時から食品はけっこう扱っていました。
その後上野店に異動してセールスマネージャーとして保存食品やお酒を担当し、銀座店に移って新たにお菓子、生鮮、惣菜。2010年に松坂屋が大丸と合併して大丸松坂屋百貨店になってからは、大丸東京店でレストランや喫茶も経験して、食に関することは一通り全部やりましたね。
2014年からは本社で食品ギフトの担当バイヤーとして全国各地の美味しい商品を求めて飛び回っています。コロナ前までは年間200日くらい出張していました。今はだいぶ減りましたが、各地にネットワークがありますから生産者との連絡を密に取り合い、Zoomなどを利用してオンライン商談などをしています。
Googleアラートも活用していて、いろいろなキーワードで情報を多方面から仕入れています。たまに気がつくとメールが数万件未読だったりしますが(笑)。
食関連のテレビ番組もできるだけ録画していますよ。でもやはり現地で直接見たり聞いたりすることによって気がつくことも多いので、都合がつけば出かけるようにしています。
北から南まで日本全国の主要大都市をまんべんなくカバー
創業300年余りの大阪・心斎橋を拠点とする大丸と、名古屋・栄を拠点とする創業400年以上の松坂屋がくっついたのが現在の大丸松坂屋百貨店です。それぞれの特徴をひとことで言い表すと、松坂屋は外商が強く、大丸はシステムや効率化に強い。老舗百貨店同士なので親和性があり意外とスムーズに一緒になった感じでした。
現在は、東京、大阪、名古屋、札幌、博多など全国に15店舗を展開しています。2020年にグループ(J.フロント リテイリング株式会社)の傘下となったPARCO(ショッピングセンター)18店舗と合わせ、北から南まで日本全国の主要大都市をまんべんなくカバーしているのが強みです。
百貨店事業が売上げの多くを占めていますが、最近ではグループとして不動産事業や幼稚園などの保育事業も行っています。2022年にはeスポーツ事業へも参入しました。10〜30代の若い世代の関心が高いeスポーツを通じて、次世代顧客へのアプローチも狙っていこうとしています。
他の商品との違いが明確に語れるかが採用のポイント
大丸松坂屋は老舗百貨店ですので、まず年配の富裕層を念頭に置いて商品を探します。外商顧客向けで高級感があって、珍しいモノなどですね。近年は若年富裕層まで幅を広げて、流行りだしたブランドや、Z世代向けに流行のグミや韓国モノなども求めています。
その店舗の立地によっても取り扱う商品は異なります。例えば東京駅にある東京大丸店はお土産やお菓子が中心といったように、さまざまな世代やターゲット、立地のことなどを考えながら商品を探しています。
現在私が取り扱っているギフトは、日常ではなくハレの日用の贈答品や自分へのご褒美的な商品が主になりますので、同じカテゴリーの商品でも他の商品との違いが明確に語れるかが採用のポイントになります。美味しいことはもちろんですが、この商品が何なのか、その良さや特徴がひと目でわかると良いですね。どこにでもあるようなモノはちょっと……。他との違いを明確にして、まずは見た目で気を惹けると良いです。その商品を買う意味があるかどうかを総合的に判断して採用しています。
これまでは大都市で流行っているモノを地方で売ることがほとんどでしたが、今はどちらかというと、地域のモノをきっちりと深掘りして東京や大阪、名古屋など大都市圏で売っていこうという流れになってきています。
弊社が取り組んでいる活動に「Think LOCAL(シンクローカル)」というのがあります。店舗を構えている15のまちを中心に、地域の課題などをそこに暮らす人々と一緒に考えながら応援していこうというものです。具体的には、食や文化、そして人といったローカルの魅力を、積極的に店舗やECサイトで発信しています。例えば各店舗で取り扱っている商品をストーリー仕立てにしてご紹介したり、生産者や職人をクローズアップしてインタビューしたり、全国各地から集めてきた選りすぐりの商品の中から、さらに優れた逸品を選ぶアワードも行っています。
まだまだ知られていない地域産品の魅力を全国に広く認知させることでその商品や地域を応援し、販売機会を増やしていこうというのが狙いです。
日本全国に目を向けて、独自のサービスを広げていって欲しい
全国各地で商談会が開催されていて、私もバイヤーとしていろいろなところからよくお声がけいただき参加していますが、バイヤーズ・ガイドが実施する商談会は、商談だけで完結するのではなく、事業者へ向けた講演や研修会、商談後のフォローまでやっているところが良さだと思います。代表の永瀬さんが始めたこのスタイルが他社にはない手厚さであり、新しさですね。今後もぜひ続けていってください。
あまり拡大しすぎると個々への手厚さがなくなる心配もでてきますが、もっと日本全国に目を向けて、例えばやっていない県などもぜひ開拓していただいて、このサービスを広げていって欲しいですね。
また商談会などございましたら、いつでも呼んでください。